2025年8月
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乳歯と永久歯、何が違う?子供の歯が虫歯になりやすい理由
子供の歯である「乳歯」と、大人の歯である「永久歯」。見た目は似ていますが、その構造や性質には、いくつかの重要な違いがあります。そして、その違いこそが、子供の歯が虫歯になりやすく、しかも進行が早い理由に直結しているのです。まず、最も大きな違いは「歯の質」です。乳歯は、永久歯に比べて、歯の表面を覆うエナメル質や、その内側にある象牙質の厚さが、半分程度しかありません。つまり、歯を守る鎧が薄く、柔らかいのです。また、歯の石灰化度(硬さ)も低いため、虫歯菌が出す酸に対する抵抗力が弱く、簡単に溶かされてしまいます。これが、乳歯が虫歯になりやすい最大の理由です。次に、「進行の速さ」にも違いが現れます。乳歯はエナメル質が薄いだけでなく、歯の神経(歯髄)が入っている部屋が、歯の大きさに比べて相対的に大きいという特徴があります。そのため、虫歯が発生すると、あっという間に神経にまで達してしまうのです。大人の歯なら数年かかるような虫歯も、乳歯では数ヶ月で神経まで進行してしまうことも珍しくありません。「どうせ生え変わるから」と乳歯の虫歯を放置するのは、非常に危険です。虫歯が進行して歯の根の先に膿が溜まると、その後から生えてくる永久歯の発育に悪影響を及ぼし、永久歯の色が変色したり、形がいびつになったり、あるいは正しい位置に生えてこられなくなったりすることがあります。また、虫歯で乳歯を早くに失ってしまうと、永久歯が生えてくるためのスペースがなくなり、将来の歯並びが悪くなる原因にもなります。乳歯は、永久歯へとバトンをつなぐ、かけがえのない大切な歯なのです。