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フロスで出血!その本当の意味と正しい使い方
デンタルフロスを初めて使った時、あるいは久しぶりに使った時に、歯茎から血が出て驚いた経験はありませんか。「フロスで歯茎を傷つけてしまったんだ」と怖くなり、使うのをやめてしまったという方も少なくないでしょう。しかし、その出血は、実はあなたの歯茎が発している重要な「SOSサイン」であり、フロスをやめるべきではなく、むしろ「続けるべき」サインなのです。フロスによる出血の本当の理由は、フロスで歯茎が切れたからではありません。それは、「歯茎に炎症(歯肉炎)が起きている」からです。歯と歯の間に溜まった歯垢(プラーク)の中の歯周病菌が、歯茎に炎症を引き起こします。炎症を起こした歯茎は、健康な歯茎に比べて血管がもろくなり、少しの刺激でも簡単に出血してしまうのです。つまり、血が出た場所こそが、歯ブラシだけでは磨けておらず、汚れが溜まっている「要注意エリア」だということです。健康で引き締まった歯茎は、フロスを通したくらいでは出血しません。出血を恐れてフロスをやめてしまうと、原因である歯垢はそこに溜まり続け、歯肉炎はさらに進行し、やがては歯を支える骨を溶かす歯周病へと悪化していきます。では、どうすれば良いのでしょうか。答えはシンプルです。「出血しても、優しくフロスを続ける」ことです。フロスによって原因である歯垢が取り除かれれば、歯茎の炎症は徐々に治まっていきます。最初は出血していた場所も、毎日丁寧にケアを続けることで、早い人なら数日、通常は1週間から2週間程度で出血しなくなります。これは、歯茎が健康を取り戻してきた証拠です。【正しいフロスの使い方】1. 糸巻きタイプの場合、約40cmに切り、両手の中指に巻きつけます。2. 親指と人差し指で、2cmほどの長さに糸をピンと張ります。3. 歯と歯の間に、のこぎりを引くようにゆっくりと挿入します。決して力任せに押し込まないでください。4. 歯の側面に糸を沿わせ、アルファベットの「C」の字のように巻きつけます。5. そのまま歯の根元(歯周ポケットの少し中)まで優しく挿入し、上下に数回動かして歯垢を掻き出します。6. 反対側の歯の側面も同様に行い、ゆっくりと引き抜きます。もし、2週間以上経っても出血が止まらない場合は、歯石が付着しているなど、セルフケアだけでは解決できない問題がある可能性が高いです。その際は、必ず歯科医院を受診してください。