-
差し歯の寿命、平均は何年?寿命を決める5つの要因
虫歯や事故で歯の大部分を失ってしまった際に、歯の根に土台を立てて被せる「差し歯」。失われた歯の機能と見た目を回復してくれる、非常に重要な治療法です。しかし、差し歯は一度入れたら永久に使えるわけではありません。いつかは寿命が訪れます。では、その寿命は一体どのくらいなのでしょうか。一般的に、差し歯の平均寿命は7年から10年程度と言われています。しかし、これはあくまで目安であり、実際にはもっと短期間でダメになるケースもあれば、15年、20年と問題なく使い続けられるケースもあります。なぜ、これほど個人差が生まれるのでしょうか。それは、差し歯の寿命が、単一の要因ではなく、いくつかの要素が複雑に絡み合って決まるからです。まず第一に「差し歯の素材」です。保険適用の銀歯やプラスチック製のものは、比較的劣化しやすく、自費診療で使われるセラミックやジルコニアといった素材は、耐久性が高く長持ちする傾向にあります。第二に「土台(コア)の状態と種類」です。差し歯は、歯の根に立てられた土台によって支えられています。この土台がしっかりしているか、また、歯に優しい素材(ファイバーコアなど)か、硬すぎて歯を壊すリスクのある素材(メタルコアなど)かによって、歯そのものの寿命が左右されます。第三の要因は「歯科医師の技術」です。歯の根の治療(根管治療)が精密に行われているか、土台や差し歯が歯にぴったりと適合しているか、噛み合わせの調整が適切か、といった治療の精度が、その後の寿命に大きく影響します。第四に「噛み合わせや歯ぎしりの有無」です。特定の差し歯に過度な力がかかったり、夜間の歯ぎしりや食いしばりがあったりすると、差し歯や土台、さらには歯の根にまでダメージが蓄積し、寿命を縮める原因となります。そして最後に、最も重要なのが「ご自身のセルフケアと定期メンテナンス」です。どんなに優れた差し歯を入れても、日々の歯磨きが不十分で差し歯の根元に歯垢が溜まれば、そこから虫歯や歯周病が進行し、土台ごとダメになってしまいます。日々の丁寧なケアと、歯科医院での定期的なチェックを続けること。これが、差し歯の寿命を最大限に延ばすための最大の鍵なのです。