首や顎のリンパが痛むと、多くの人がまず風邪や疲れを疑います。確かに、ウイルスや細菌感染による咽頭炎や扁桃炎でもリンパ節は腫れます。しかし、見逃してはならないのが、歯が原因で起こるリンパの痛みです。では、どのように見分ければよいのでしょうか。いくつかのポイントに注目することで、原因を推測する手がかりが得られます。まず、風邪の症状、例えば喉の痛みや咳、鼻水、発熱などが伴っているかどうかを確認します。これらの症状がなく、リンパの腫れや痛みだけが顕著な場合は、歯の問題を疑う価値があります。次に、口の中に意識を向けてみましょう。特定の歯に痛みはないか、冷たいものや熱いものがしみないか、歯茎に腫れや出血はないか、といった点を確認します。過去に治療した歯や、親知らずの周辺に違和感がある場合も要注意です。また、痛むリンパ節の場所もヒントになります。耳の下や顎の真下にあるリンパ節がピンポイントで痛む場合は、その近くにある歯、特に奥歯からの影響が考えられます。一方で、首の側面全体がなんとなく痛む場合は、風邪など全身性の症状である可能性が比較的高くなります。もちろん、これらはあくまで目安であり、自己判断は禁物です。リンパの痛みが数日経っても改善しない場合や、痛みが強い場合、口の中に明らかな異常を感じる場合は、まず歯科医院を受診することをお勧めします。歯科で問題が見つからなければ、その時点で内科や耳鼻咽喉科など、他の診療科を検討するという流れが、最も確実で安全な対処法と言えるでしょう。