歯科医院ではどう取る?黒い歯石の専門的除去法
非常に硬く、歯周ポケットの奥深くにこびりついた黒い歯石。これを安全かつ完全に取り除くには、歯科医院での専門的な治療が不可欠です。歯科医院で行われる歯石除去は、単なる「お掃除」というイメージとは一線を画す、歯周病の進行を食い止めるための本格的な治療です。まず、治療を始める前には、精密な検査と診断が行われます。プローブという器具を使って歯周ポケットの深さを一本一本測定し、歯茎の炎症や出血の有無を確認します。さらに、レントゲン撮影を行い、目では見えない歯を支える骨の状態を把握します。これらの情報をもとに、どこに、どのくらいの量の黒い歯石が付着しているかを判断し、治療計画を立てます。実際の除去作業の中心となるのが、「スケーリング」です。これは、スケーラーと呼ばれる専用の器具を使って、歯の表面や歯周ポケットの中に付着した歯石を徹底的に除去する処置です。スケーラーには、超音波の微細な振動で歯石を粉砕する「超音波スケーラー」と、歯科衛生士が指先の感覚を頼りに、細かい部分の歯石をカリカリと掻き出す「手用スケーラー」があり、これらを使い分けて歯石を取り除いていきます。そして、黒い歯石の除去において特に重要なのが、「ルートプレーニング」という処置です。これは、スケーリングで歯石を取り除いた後、歯の根(ルート)の表面に残った細菌の毒素や、ザラザラした部分を滑沢に仕上げる作業です。歯の根の表面をツルツルにすることで、歯垢や歯石が再び付着しにくい環境を作り出し、歯周病の再発を防ぎます。黒い歯石の除去は、一度の治療では終わらないことがほとんどです。複数回に分けて丁寧に行われ、痛みが予想される場合には麻酔を使用することもあります。これは、健康な歯を未来に残すための、非常に重要な治療なのです。