噛んでないのに口内炎ができてしまった場合、市販薬で対処しようと考える方も多いでしょう。しかし、症状によっては医療機関を受診し、処方薬による治療が必要になることもあります。では、市販薬と処方薬では、どのような違いがあるのでしょうか。まず、最も大きな違いは「成分の種類と濃度」です。市販薬は、比較的安全性が高く、多くの人が使えるように成分の種類や濃度が調整されています。例えば、炎症を抑えるステロイド成分が含まれている口内炎治療薬も市販されていますが、処方薬で用いられるステロイドに比べて、効果がマイルドなものが一般的です。一方、処方薬は、医師が患者さんの症状や原因を診断した上で、より効果の高い成分や、特定の病原体に作用する成分(抗ウイルス薬や抗真菌薬など)を選択し、適切な濃度で処方します。そのため、市販薬では対応できないような重症の口内炎や、特殊な原因による口内炎に対しても、より専門的で効果的な治療が期待できます。次に、「対象となる口内炎の種類」にも違いがあります。市販薬の多くは、一般的なアフタ性口内炎や、軽いカタル性口内炎を対象としています。しかし、口内炎の原因がウイルス感染(ヘルペス性口内炎など)や真菌感染(カンジダ性口内炎など)、あるいはアレルギー反応、全身疾患の一部症状である場合は、市販の口内炎治療薬では効果がないか、かえって症状を悪化させてしまう可能性があります。これらの場合は、医師の診断に基づいた専門的な処方薬(抗ウイルス薬、抗真菌薬、抗アレルギー薬、あるいは原因疾患の治療薬など)が必要となります。また、「診断の有無」も大きな違いです。市販薬は、自分の判断で購入し使用しますが、処方薬は、医師が診察・検査を行い、口内炎の原因や種類、重症度を正確に診断した上で処方されます。この診断があるかないかは、適切な治療を行う上で非常に重要です。自己判断で市販薬を使い続けても症状が改善しない場合、実はもっと深刻な病気が隠れていたり、原因に合わない薬を使っていたりする可能性があるのです。そして、「副作用のリスク管理」も異なります。処方薬は、医師が患者さんの状態を把握した上で処方し、副作用が出た場合にも適切に対応できますが、市販薬の場合は、副作用のリスクを自己管理する必要があります。
噛んでないのに口内炎市販薬と処方薬の違い