噛んでしまった傷が口内炎になり、なかなか治らない。その原因は、体の内側、特に栄養バランスの乱れにあるのかもしれません。口の中の粘膜は、体の中でも特に新陳代謝が活発な部分であり、その健康を維持し、傷を修復するためには、十分な栄養が不可欠です。口内炎を早く治すためには、薬による外からのケアと同時に、食事による内側からのアプローチが極めて重要になります。まず、積極的に摂取したいのが「ビタミンB群」です。特に、ビタミンB2とビタミンB6は「粘膜のビタミン」とも呼ばれ、皮膚や粘膜の健康維持に欠かせない栄養素です。これらが不足すると、粘膜が弱くなり、口内炎ができやすく、治りにくくなります。ビタミンB2はレバーやうなぎ、卵、納豆などに、ビタミンB6はカツオやマグロ、バナナなどに多く含まれています。また、体の抵抗力を高め、傷の治りを助ける「ビタミンC」も重要です。ピーマンやブロッコリー、キウイフルーツなどから摂取できます。一方で、口内炎ができている時に避けるべき食事もあります。唐辛子などの香辛料、レモンやお酢などの酸味の強いもの、熱すぎるスープ、そしてポテトチップスのような硬くて尖った食べ物は、患部を直接刺激し、炎症を悪化させてしまいます。食事の際は、食材を細かく刻んだり、柔らかく煮込んだり、人肌程度に冷ましたりといった工夫も大切です。バランスの取れた食事で体の中から治癒力を高めることが、つらい口内炎から一日も早く解放されるための確実な道筋です。