正常な歯の本数よりも多く生えてきてしまう歯のことを「過剰歯(かじょうし)」と呼びます。これは、本来作られるべき歯の元(歯胚)が、分裂するなどして余分に作られてしまうことが原因と考えられています。過剰歯は、乳歯よりも永久歯に見られることが多く、特に上の前歯の間に発生するケースが最も一般的です。過剰歯の形は様々で、普通の歯と同じような形をしていることもあれば、円錐形や塊状といった、いびつな形をしていることもあります。歯茎から顔を出してくることもあれば、歯茎や顎の骨の中に埋まったまま、レントゲンを撮って初めて発見されることも少なくありません。では、過剰歯があると、どのような問題が起こるのでしょうか。最も多いのが、「歯並びへの影響」です。例えば、上の前歯の間に過剰歯があると、前歯の間に大きな隙間ができてしまう「正中離開(すきっ歯)」の原因になったり、永久歯が正しい位置に生えるのを邪魔して、歯並びをガタガタにしてしまったりします。また、過剰歯の周りは汚れが溜まりやすく、虫歯や歯周病のリスクを高めることもあります。さらに、埋まっている過剰歯が、隣の健康な歯の根を溶かしてしまう(歯根吸収)という、深刻なトラブルを引き起こすこともあります。過剰歯が見つかった場合、その多くは抜歯の対象となります。特に、歯並びに悪影響を及ぼしている、あるいは将来的に及ぼす可能性が高いと判断された場合は、適切なタイミングで抜歯を行うのが一般的です。ただし、他の歯に全く影響を与えていない場合は、無理に抜歯せず、経過観察となることもあります。子供の歯並びがおかしい、前歯の間に隙間が気になる、といった場合は、過剰歯が隠れている可能性も考え、一度歯科医院で精密な検査を受けることをお勧めします。