歯の本数が足りない?先天性欠如という可能性
「周りの子より、うちの子の歯の本数が少ない気がする」「乳歯が抜けたのに、いつまで経っても次の歯が生えてこない」。このような場合、もしかしたら「先天性欠如」という、生まれつき歯の本数が足りない状態かもしれません。これは決して珍しいことではなく、日本人のおよそ10人に1人の割合で見られると言われています。先天性欠如は、永久歯だけでなく乳歯でも起こることがありますが、多くは永久歯に見られます。歯の「もと」となる歯胚(しはい)が、何らかの理由で作られなかったことが原因です。特によく見られるのが、下の第二小臼歯(前から5番目の歯)や、上の側切歯(前から2番目の歯)です。乳歯の下に生えてくるべき永久歯が存在しないため、乳歯が通常よりも長く残ることが多いのも特徴です。では、歯の本数が少ないと、どのような問題があるのでしょうか。まず、歯と歯の間に隙間ができてしまい、見た目(審美性)の問題に繋がることがあります。また、噛み合わせのバランスが崩れたり、隙間に隣の歯が倒れ込んできて、全体の歯並びが乱れてしまったりする原因にもなります。自分の子供の歯の本数が少ないかもしれないと不安に感じたら、まずは歯科医院を受診することが大切です。レントゲン撮影をすれば、歯茎の中に永久歯の元(歯胚)があるかどうかを、確実に見分けることができます。もし先天性欠如と診断された場合でも、すぐに何か治療が必要なわけではありません。将来的に、残っている乳歯をできるだけ長く使う、矯正治療で隙間を閉じる、あるいは成人してからブリッジやインプラントで歯を補うなど、様々な選択肢があります。慌てずに、子供の成長に合わせて、歯科医師と長期的な計画を立てていくことが重要です。