歯を失った際の治療法として、ブリッジは非常に有効な選択肢ですが、誰にでも、どんな症例にでも適用できるわけではありません。ブリッジ治療には、その構造上、いくつかの「適用条件」と「限界」が存在します。自分がブリッジ治療を受けられるかどうか、その基本的な条件を理解しておきましょう。1. 土台となる歯(支台歯)が両隣に存在すること ブリッジは、その名の通り「橋」を架ける治療法です。そのため、橋を支えるための橋げた、つまり土台となる歯が、失った歯の両隣にしっかりと存在していることが大前提となります。したがって、一番奥の歯が抜けてしまった場合(専門的には「遊離端欠損」と言います)のように、後ろ側に土台となる歯がないケースでは、原則としてブリッジ治療は適用できません。2. 土台となる歯が健康で丈夫であること 土台となる歯には、失った歯の分まで余計な力がかかります。そのため、その過酷な役割に耐えられるだけの健康と強度を持っていることが絶対条件です。例えば、重度の歯周病で歯がグラグラしている、大きな虫歯で歯の残っている部分が少ない、歯の根に大きな膿の袋がある、といった状態では、土台として不適格と判断され、ブリッジ治療はできません。無理にブリッジをかけても、すぐに土台の歯ごとダメになってしまうからです。3. 失った歯の本数が多すぎないこと 失った歯が1本、あるいは2本程度であれば、ブリッジ治療の良い適応症となります。しかし、失った歯が3本、4本と連続している場合、橋の距離(スパン)が長くなりすぎます。長い橋が真ん中を強く噛むとたわんでしまうように、ブリッジもたわみやすくなり、破損したり、土台の歯に過剰な負担がかかってしまいます。そのため、一般的に連続して3本以上の歯を失ったケースでは、ブリッジの適用は困難とされます。4. 噛み合わせや歯並びに大きな問題がないこと 全体的な噛み合わせのバランスが著しく悪い場合や、土台となる歯が大きく傾いている場合なども、ブリッジに異常な力がかかりやすいため、適用が難しいことがあります。これらの条件を満たさない場合は、ブリッジ以外の治療法、つまり「部分入れ歯」や「インプラント」を検討することになります。
ブリッジができない?治療の適用条件と限界