差し歯の治療法を選択する際、全ての患者さんが直面するのが「保険診療」と「自費診療」という大きな分かれ道です。費用を抑えられる保険か、質を追求する自費か。これは単なる金額の問題ではなく、あなたの今後の口腔内の健康、そして生活の質にまで関わる重要な選択です。後悔しないために、それぞれのメリット・デメリットを正しく理解し、総合的に比較検討しましょう。【費用】●保険:最大のメリット。数千円から2万円程度で治療が可能。●自費:高額。セラミックなどで1本10万円以上かかることも。しかし、これは初期費用の話です。保険の差し歯は寿命が短く、数年ごとに再治療が必要になる可能性があります。そのたびに時間と費用がかかることを考えると、長持ちする自費の差し歯の方が、生涯にかかるトータルの医療費は安くなる可能性も秘めています。【審美性(見た目)】●保険:プラスチックは経年で変色し、金属は見た目が悪い。歯茎が黒ずむリスクもある。●自費:セラミックは天然歯のような透明感と色調を再現でき、変色もない。見た目を重視するなら、自費に軍配が上がります。【耐久性と精度】●保険:素材が劣化しやすく、摩耗や破損のリスクがある。適合精度にも限界があり、二次虫歯になりやすい。●自費:セラミックなどの素材は非常に丈夫で長持ちする。精密な型取りと接着により、歯にぴったりと適合し、二次虫歯のリスクを大幅に低減できる。【体への影響】●保険:銀歯やメタルコアは、金属アレルギーの原因となる可能性がある。●自費:セラミックなどは生体親和性が高く、アレルギーの心配がない。【結論】どちらを選ぶべきか?もしあなたが「費用を何よりも優先したい」「とりあえず噛めるようになれば良い」と考えるなら、保険診療は優れた選択肢です。しかし、「見た目を自然に美しくしたい」「再治療のリスクを減らして、できるだけ長持ちさせたい」「金属アレルギーが心配」といった希望があるなら、自費診療を真剣に検討する価値は十分にあります。大切なのは、これらの違いを理解した上で、自分が何を重視するのかを明確にし、歯科医師としっかりとコミュニケーションを取ることです。あなたの価値観に合った、納得のいく治療法を選びましょう。
後悔しないための差し歯の選び方