私は以前から時々「歯がかゆい」という不思議な感覚に悩まされていました。虫歯のような明確な痛みがあるわけでもなく、ただ漠然と歯の根元あたりがムズムズするという、なんとも表現しがたい違和感でした。最初は気にしないようにしていたのですが、その感覚が頻繁に起こるようになり、集中力を欠いたり、食事中に不快感を覚えたりするようになりました。特に夜、布団に入ってリラックスしている時に、そのかゆみが強くなることが多く、それが原因で眠りにつきにくくなる日もありました。何度か鏡で口の中を調べてみましたが、見た目には特に異常はありません。歯茎がひどく腫れているわけでもなく、目立った出血もありませんでした。それでも、この「歯がかゆい」という感覚が頭から離れず、次第にストレスになっていきました。インターネットで検索してみると、同じような経験をしている人がいることを知り、少し安心したものの、具体的な解決策はなかなか見つかりません。中には「歯周病の初期症状では?」といった情報もあり、それを読んで不安が募りました。ある日、定期検診の時期が来たので、いつもの歯科医院を訪れました。検診の際、勇気を出して先生に「実は最近、歯がかゆいんです」と打ち明けました。先生は私の話をじっくりと聞いてくださり、口の中を丁寧に診察してくれました。そして、いくつかの検査を行った結果、私の「歯がかゆい」という症状の原因が判明しました。それは、軽度の歯肉炎と、夜間の食いしばりによる歯への負担でした。先生の説明によると、歯茎の軽い炎症が歯の周りの神経を刺激し、それがかゆみとして感じられることがあるとのこと。また、寝ている間の無意識の食いしばりが歯や歯茎に持続的な圧力をかけ、これもまた違和感やかゆみを引き起こす一因になっている可能性があると教えてくれました。私はまさか食いしばりが関係しているとは思ってもみなかったので、とても驚きました。治療としては、まず歯石の除去と丁寧なクリーニングが行われ、歯肉炎の改善を目指しました。そして、夜間の食いしばり対策として、マウスピースの着用を勧められました。