歯と歯の間のケア(歯間ケア)の重要性が広く知られるようになり、デンタルフロスと並んで「歯間ブラシ」も、ドラッグストアでよく見かけるようになりました。どちらも歯間の汚れを取るための道具ですが、その役割と得意な場所は全く異なります。この二つを正しく使い分けることが、より効果的な虫身・歯周病予防に繋がります。【デンタルフロス:歯と歯が接する「点」の清掃に】デンタルフロスの主な役割は、歯と歯が隣り合って、きつく接している部分「コンタクトポイント」とその周辺の歯垢を除去することです。この部分は、歯ブラシの毛先が絶対に入らない、まさにフロスの独壇場です。歯と歯の間から始まる虫歯(隣接面う蝕)の予防に、絶大な効果を発揮します。フロスは、歯間の隙間がほとんどない、若い世代の方や、歯茎が健康で引き締まっている方に最適なケア用品です。もし、歯間にフロスを入れてスカスカに感じる場合は、フロスでは清掃効率が悪くなっているサインかもしれません。【歯間ブラシ:歯と歯茎の間の「隙間」の清掃に】一方、歯間ブラシは、歯と歯茎の間にできた、三角形の隙間「歯間鼓形空隙(しかんこけいくうげき)」の清掃を得意としています。この隙間は、加齢や歯周病によって歯茎が下がってくることで、大きくなります。歯間ブラシは、ワイヤーに付いた小さなブラシで、この隙間の汚れを効率的に掻き出すことができます。特に、歯周病の予防・改善に高い効果を発揮します。また、ブリッジの下の部分や、矯正装置の周りなど、大きな隙間がある場所の清掃にも適しています。【どう使い分ける?】使い分けの基本的な考え方は、「隙間の大きさ」です。●歯間の隙間がなく、フロスが「キュッ」と入る場所 → デンタルフロス●歯間の隙間が大きく、フロスがスカスカする場所 → 歯間ブラシ●爪楊枝がスッと入るような隙間がある → 歯間ブラシが適していると言えるでしょう。歯間ブラシを選ぶ際は、無理なく挿入できる、一番細いサイズから試すのが鉄則です。太すぎるサイズを無理に使うと、歯茎を傷つけてしまう原因になります。理想的には、歯並びは複雑なので、場所によってフロスと歯間ブラシを使い分けるのがベストです。自分の口の中をよく観察し、どちらが適しているか分からない場合は、かかりつけの歯科医院で相談し、自分に合ったサイズや種類の指導を受けるのが最も確実です。