歯科医院での専門的な治療によって、長年こびりついていた黒い歯石が除去された後、口の中は生まれ変わったようにすっきりとし、大きな安心感に包まれるでしょう。しかし、本当の戦いはここから始まります。治療によってリセットされた健康な状態をいかに維持していくか、治療後の正しいケアが、今後のあなたの歯の運命を左右すると言っても過言ではありません。治療直後には、いくつか注意すべき点があります。麻酔を使用した場合は、感覚が戻るまで食事は控えましょう。感覚がないうちに頬や唇を噛んでしまう可能性があります。また、治療した歯茎は敏感になっているため、数日間は香辛料の効いたものや熱すぎるものなど、刺激の強い食べ物は避けるのが賢明です。治療後によく見られる症状として、「知覚過敏」があります。歯石という分厚い鎧が剥がされたことで、今まで覆われていた歯の根の部分が露出し、冷たい水や風がしみやすくなるのです。これは、歯茎が引き締まって健康な状態に戻る過程で起こる一時的な症状であることがほとんどです。知覚過敏用の歯磨き粉を使用したり、あまりに痛む場合は歯科医師に相談したりしましょう。また、治療後のブラッシングで歯茎から出血することがありますが、これを恐れてはいけません。炎症があった歯茎は、健康を取り戻す過程で出血しやすくなります。ここでブラッシングを怠ると、再び歯垢が溜まり、元の木阿弥になってしまいます。柔らかめの歯ブラシで、優しく丁寧に磨き、血行を促進してあげることが、歯茎の治癒を助けます。治療はゴールではなく、あくまで健康な口腔環境を取り戻すためのスタートラインです。日々の正しいセルフケアと、定期的な歯科検診を継続することが、何よりも大切になります。