数週間前のことです。朝起きると、右の顎の下にビー玉くらいのしこりがあり、触ると鈍い痛みを感じました。風邪をひいた覚えもなく、熱もありません。何だろうと不安に思いながらも、仕事が忙しかったため様子を見ることにしました。しかし、痛みは日増しに強くなり、食事の際に口を開けるのも少し辛くなってきたのです。インターネットで症状を検索すると、様々な病名が並び、私の不安は頂点に達しました。そんな時、ふと数ヶ月前から時々痛んでいた奥歯のことを思い出しました。冷たいものがしみる程度だったので放置していたのですが、もしかしたらこれが関係しているのかもしれない。そう思い立ち、翌日すぐに近所の歯科医院へ駆け込みました。レントゲンを撮ってもらうと、案の定、放置していた奥歯の根元に大きな膿の袋ができており、そこから細菌が顎のリンパ節にまで影響を及ぼしているとのことでした。先生は、体の防御反応でリンパが腫れているのだと丁寧に説明してくれました。原因がはっきりしたことで、私は心から安堵しました。すぐに根の治療を開始してもらい、抗生物質を服用すると、あれほど痛かったリンパの腫れが数日で嘘のように引いていきました。この経験を通じて、口の中の小さなトラブルが体全体に影響を及ぼすことを痛感しました。少しでも異変を感じたら、専門家に相談する勇気が大切だと学んだ出来事です。リンパの痛みを放置する危険性と受診の勧め歯が原因で生じるリンパの痛みは、体からの重要な警告サインです。これを単なる一時的な不調だと軽視し、放置してしまうと、様々なリスクが伴います。まず理解すべきなのは、リンパが痛むということは、口の中のどこかで細菌感染が起きている可能性が非常に高いということです。この感染源である虫歯や歯周病をそのままにしておくと、細菌はさらに増殖し、顎の骨を溶かしたり、隣の歯にまで悪影響を及ぼしたりすることがあります。さらに深刻なのは、感染がリンパ節の防御機能を突破してしまうケースです。細菌が血流に乗って全身に運ばれると、敗血症という命に関わる状態を引き起こすことさえあります。また、心臓に持病がある方の場合、口の中の細菌が心内膜炎のリスクを高めることも知られています。リンパの痛みを和らげるために市販の鎮痛薬を飲むのは、あくまで一時しのぎに過ぎません。