乳歯20本の役割とは?永久歯のための大切な準備期間
子供の歯である乳歯は、全部で20本。いずれ永久歯に生え変わるからといって、その役割を軽視してはいけません。乳歯には、子供の健やかな成長と、美しい永久歯列を育むための、非常に重要ないくつかの役割があるのです。乳歯が担う最も基本的な役割は、「食べ物を噛み砕く」ことです。丈夫な乳歯でしっかりと食べ物を噛むことは、消化を助けるだけでなく、顎の骨の正常な発育を促します。様々な食材の食感や味を楽しみ、食への興味を育む上でも、健康な乳歯は欠かせません。次に、乳歯は「正しい発音」を助ける役割も担っています。特に前歯は、サ行やタ行といった特定の音を発する際に、舌や唇が当たることで、明瞭な発音を可能にしています。虫歯などで早くに前歯を失ってしまうと、正しい発音の習得が難しくなることがあります。そして、乳歯が持つ最も重要な役割の一つが、「永久歯の誘導」です。乳歯の根の下では、後から生えてくる永久歯が、出番を待ってゆっくりと成長しています。乳歯は、この永久歯が正しい位置に生えてくるためのスペースを確保し、道しるべとなる「ガイド」の役目を果たしているのです。もし、虫歯などで乳歯を本来抜けるべき時期よりも早く失ってしまうと、そのスペースに隣の歯が倒れ込んできたり、移動してきたりして、永久歯が生えてくる場所がなくなってしまいます。その結果、永久歯は傾いて生えたり、全く違う場所から生えたり、場合によっては生えてこられなくなったりして、将来の歯並びが悪くなる大きな原因となるのです。乳歯20本を、虫歯のない健康な状態で保ち、適切な時期に永久歯へとバトンタッチさせてあげること。それが、子供の輝く未来の笑顔を守るための、親ができる最善のプレゼントと言えるでしょう。