放置は危険!黒い歯石が引き起こす口内トラブル
歯茎の溝に潜む黒い歯石を、「ただの色のついた石」だと侮ってはいけません。それは、あなたの口の中で静かに時を待つ時限爆弾のようなものです。黒い歯石を放置することは、歯周病という深刻な病気を自ら育て、やがて様々な口内トラブルを引き起こすことに直結します。黒い歯石がもたらす最大の問題は、「歯周病の悪化」です。黒い歯石の表面は無数の微細な穴が開いており、ザラザラしています。この構造が、歯周病の原因となる細菌にとって格好の隠れ家であり、繁殖の温床となるのです。歯石に守られた細菌たちは、歯磨きでは決して取り除くことができません。そして、歯茎の内部で増殖しながら、歯茎を腫れさせ、歯を支える重要な骨である「歯槽骨」を溶かす毒素を出し続けます。歯槽骨が溶かされてしまうと、一度失われた骨は、二度と元には戻りません。次に多くの人を悩ませるのが、「強烈な口臭」です。黒い歯石に棲みついた歯周病菌は、タンパク質(剥がれ落ちた歯茎の細胞や血液など)を分解する際に、揮発性硫黄化合物というガスを発生させます。これが、よく「ドブのような臭い」「卵の腐ったような臭い」と表現される、非常に不快な口臭の原因となるのです。どんなに丁寧に歯を磨いても、口臭が改善しない場合、その発生源はこの黒い歯石である可能性が高いのです。そして、歯周病が進行した先にある最も悲しい結末が、「歯の喪失」です。歯を支える土台である歯槽骨が溶かされ、歯茎が下がってしまうと、歯は徐々にグラグラと揺れ始めます。そして最終的には、虫歯でもない健康な歯が、支えを失ってポロリと抜け落ちてしまうのです。大切な歯を守るためにも、黒い歯石は発見次第、徹底的に除去する必要があります。