でかい口内炎は、単なる口の中の炎症と片付けられないことがあります。特に、なかなか治らない、繰り返し発生する、他の全身症状を伴うといった場合は、何らかの「全身疾患」のサインである可能性も考えられます。このような重要なサインを見逃さないためにも、口内炎と全身疾患の関連性について知っておくことは非常に重要です。最も代表的なのが、「ベーチェット病」です。これは自己免疫疾患の一つで、口内炎、皮膚症状、眼症状、外陰部潰瘍の4つの主要症状を特徴とします。口内炎は、アフタ性口内炎に似ていますが、通常よりも大きく、深く、痛みも強いことが多く、繰り返し発生します。目の症状(ぶどう膜炎)を伴うと視力障害のリスクもあるため、早期発見・早期治療が非常に重要です。次に、「クローン病」や「潰瘍性大腸炎」といった炎症性腸疾患も、口内炎を伴うことがあります。これらの病気は消化管全体に慢性的な炎症を引き起こすもので、口内炎は腸管の炎症が口の中に現れたものと考えられます。下痢や腹痛、体重減少などの消化器症状と共に、でかい口内炎が頻繁に現れる場合は、これらの疾患を疑う必要があります。また、「自己免疫性水疱症」と呼ばれる病気でも、口の中に水ぶくれやびらん、潰瘍が形成されることがあります。これは皮膚や粘膜に免疫システムが誤って攻撃してしまうことで起こる病気で、口内炎のような症状として現れることがあります。さらに、稀ではありますが、「口腔がん」の初期症状として、治りにくい口内炎のような病変が現れることがあります。通常の口内炎は1~2週間程度で治癒しますが、それ以上長引く場合や、硬さがある、出血しやすいといった場合は、注意が必要です。その他、全身の免疫力が低下する病気(例えば、HIV感染症)や、特定の栄養欠乏症(重度の鉄欠乏性貧血など)でも、口内炎が多発したり、大きくなったりすることがあります。でかい口内炎が長期間治らない、繰り返し起こる、発熱や倦怠感などの全身症状を伴う、その他気になる症状がある場合は、自己判断せずに、すぐに内科、皮膚科、口腔外科などの専門医を受診し、適切な診断と治療を受けるようにしましょう。