しゃくれの改善や予防は、専門的な治療だけでなく、日々の生活の中での「セルフケア」によってもサポートできることがあります。特に軽度のしゃくれや、お子さんの成長期のしゃくれ傾向に対しては、意識的な習慣の見直しが大きな効果を発揮する可能性があります。ただし、重度の骨格的な問題がある場合は、専門医の診断と治療が不可欠です。まず、重要なのは「口呼吸の改善」です。口呼吸は、舌の位置が低くなり、下顎が前方にずれやすくなる原因となります。意識的に鼻呼吸を心がけ、口を閉じている状態を保つ練習をしましょう。鼻炎などで鼻呼吸が難しい場合は、耳鼻咽喉科を受診し、根本原因を治療することも大切です。次に、「舌の正しい位置」を意識することです。舌は、リラックスした状態で上顎の口蓋にぴったりとついているのが理想的な位置とされています。舌が常に下顎にある「低位舌」の状態は、下顎の成長を促し、しゃくれを悪化させる可能性があります。意識的に舌を上顎につける練習(MFT:口腔筋機能療法の一部)を試してみましょう。また、「噛み合わせのバランス」を整えることも重要です。片側だけで噛む癖や、食いしばり、歯ぎしりなどは、顎の関節や筋肉に負担をかけ、顎の位置に影響を与えることがあります。均等に両側でしっかり噛むことを意識し、ストレス軽減に努めることも大切です。必要であれば、ナイトガードの装着も検討できます。さらに、「姿勢の改善」も顎の位置に影響を与えます。猫背や前かがみの姿勢は、頭が前方にずれ、結果として下顎も前に出やすい状態を作り出します。背筋を伸ばし、正しい姿勢を保つことを意識しましょう。座っている時も立っている時も、鏡で自分の姿勢をチェックする習慣をつけるのがおすすめです。お子さんの場合は、「指しゃぶり」や「舌癖」の改善も重要です。これらの癖が長期間続くと、歯並びや顎の骨格に悪影響を与えます。専門家のアドバイスを受けながら、早期にこれらの癖を改善するよう努めましょう。これらのセルフケアは、あくまで補助的なものですが、日常的に意識することで、しゃくれの進行を抑制したり、治療効果を高めたりする可能性があります。気になる症状があれば、まずは専門医に相談し、適切なアドバイスを受けることが何よりも大切です。